破産管財人とは?

法人破産手続きを検討しているときに「破産管財人」という名前を目にすることがあります。
破産管財人は法人破産手続きに関与する人のことですが、具体的にどのようなことをするのでしょうか。

この記事と次回の記事で、破産管財人の意味や職務内容、説明請求権について解説します。

破産管財人とは

破産管財人とは裁判所に選任される破産手続きの事務を行う人です。

法人破産手続きは裁判所に申し立てます。
手続き自体は裁判所が管轄しますが、裁判所自体が細かな破産手続きの事務をするわけではありません。

選任した破産管財人が破産手続きを担当するのです。
破産管財人が具体的にどのような事務・職務を担当するかは次の大見出しで解説します。

なお、破産管財人については選任されるケースと選任されないケースがあるため注意してください。

破産管財人が選任されるケース

法人破産手続きでは基本的に、破産管財人が選任されることになっています。

ただし、これはあくまで基本です。中には管理すべき資産が少ないなどの理由から破産管財人が選任されないケースもあります。
破産手続きで破産管財人が選任されるかどうかは、最終的に裁判所の判断次第です。

破産手続きを申し立てた債務者にある程度の資産があると、資産管理をする人が必要になります。
破産手続きでは債務者の資産を換金し債権者に配当する人も必要です。

破産手続きを申し立てた債務者に預金や不動産、現金などのある程度の資産があれば破産管財人が選任されます。
個人の破産手続きでは免責不許可事由があるケースなども破産管財人が選任されます。

破産管財人が選任されないケース

破産手続きが同時廃止になる場合は破産管財人が選任されません

破産手続きには大きくわけて「管財事件」と「同時廃止」のふたつの種類があります。
管財事件とは、破産管財人を選任して資産の換金や債権者の配当を行う破産手続きです。

対して同時廃止は、破産手続きの開始と共に終了するタイプの破産手続きになります。
開始と同時に終了するため同時廃止と呼ばれています。
同時廃止はすぐに破産手続きが終了するため、破産管財人が選任されません。

破産手続きが同時廃止になるのは、手続きにかける費用もなく債権者に配当できる資産もないようなケースです。
資産管理や配当の必要がほぼないわけですから、破産管財人はあえて選任しません。
ただ、法人が破産するときに同時廃止が使われるのは極めて稀です。

法人破産の場合は基本的に管財事件になります。
法人破産において同時廃止は例外だと考えた方がいいでしょう。

破産管財人の職務内容

法人破産手続きで破産管財人が選任されたときどのような職務を行うのでしょうか。

破産管財人が法人破産手続きの中で行う職務は「調査」「換金」「報告」「面談」などです。
破産管財人の主な職務について説明します。

破産管財人は債務者の資産や債務を調査する

法人破産手続きの際に破産管財人が第一に行う職務は、債務者(申立人)の資産や債務の調査をすることです。

法人破産手続きを進めると最終的に法人が消滅します。
法人がなくなる前に法人の資産を換金して可能な限り債権者に配当するのです。
ただ法人を終わらせるのではなく、できる限りの債務の清算をするということです。

債権者に配当するためには債権の金額や契約内容がわからなければいけません。
資産状況や案禁可能な財産なども把握しなければいけないのです。

破産手続きを進めるために、破産管財人は、債務者の資産状況や具体的な資産の内容、債務、隠れている財産や債務などが存在しないかなどを調査します。
個人の破産手続きの場合は免責を許可すべきかどうかも調査します。

破産管財人は債務者の資産を換金する

法人破産手続きの中で破産管財人が行う第二の職務は資産の換金です。

破産手続きをする法人が持っている資産は、現金や預金だけではありません。
中には不動産などもあります。機械や在庫商品などもあることでしょう。
物や不動産のままでは債権者に配当はできません。
だからこそ破産管財人は、資産に合わせた方法で、機械や不動産といった法人が有する財産を換金します。

法人の資産を配当可能な現金にすることも破産管財人の大切な仕事です。

破産管財人は債権者集会などで報告を行う

法人破産手続きでは債権者集会が開かれます。
債権者集会とは、債権者に対する破産の説明会のようなものです。
債権者集会には債権者や債務者(申立人)、破産管財人などが出席して然るべき事項や破産手続きの事務処理などについて説明すべき人が説明を行います。
破産管財人は債権者集会で破産手続きの事務について報告を行うことも職務です。

破産管財人は法人経営者との面談も職務内容

破産管財人は、破産する法人の経営者や担当弁護士などと協力して法人破産手続きを進めます。

そのため破産手続き開始決定があると、まずは法人の経営者や担当弁護士などの打ち合わせや面談を行います。
法人破産手続きのための打ち合わせや面談も破産管財人の職務内容です。

破産管財人による説明請求権の行使

破産管財人の職務内容のひとつに説明請求権の行使があります。
資産や負債など法人破産手続きに必要な内容の説明を求めるという職務です。

説明請求権の行使については次の記事で詳しく説明します。