倒産前に知っておきたい事業再生支援制度について紹介

資金繰りができなくなっても手段は残されている

業績不振によって赤字が続き、借入金が増大。金融機関からも融資が受けられなくなると、企業活動を続けることは困難になります。

この場合企業が取り得る手段にはいくつかありますが、破産をする前に他の手段も検討すべきです。これまでに築いてきたブランド価値などが活かせることもあります。

 

事業再生を図るための資金調達を助ける「事業再生支援制度」がありますので、まずはこの制度による支援が受けられないかどうか、確認しましょう。

DIP保証制度について

事業再生支援制度は、私的整理手続によって再建中の中小企業に向けて、信用保証協会が資金について保証を行うという内容になっています。

この保証によって事業再生が円滑に進められます。

なお、この制度には2つのタイプがあります。

その1つが「DIP保証制度」(事業再生保証制度とも呼ばれる)です。

こちらは民事再生等の「再建手続中」であり、かつ「裁判所による再生計画・更生計画の認可を受けてから3年を経過していない」中小企業者が対象です。

さらに、再建に合理的な見通しがあること、および債務の償還見込みがあることも条件とされています。

 

保証限度額は2億円(保証料率:年率2.2%)で、法人代表者以外の保証人は不要。保証期間は10年以内です。

金融機関を介した申し込みを行うことになり、手続には民事再生の手続開始申立書などが必要になります。

プレDIP保証制度について

もう1つのタイプとして「プレDIP保証制度」(事業再生円滑化関連保証制度とも呼ばれる)があります。

こちらは再建の合理的見通しがあり、「事業再生ADRによる再生」あるいは「中小企業再生支援協議会等の指導による再生」を図っていることが条件とされています。

なお、ADRとは裁判上の手続きではなく当事者間の話し合いによる紛争解決手続きのことです。

つまり、こちらは民事再生法等による法的手続を採用しないケースで活用できる制度ということです。

保証限度額は2億8,000万円(保証料率:1.76%)です。こちらも原則法人代表者以外の保証人は不要。ただし保証期間は大幅に短縮され、3年以内とされています。

金融機関を介した申し込みである点は共通していますが、必要書類は「特定認証紛争解決事業者という法務大臣の認証、経済産業大臣の認定を受けた事業者が手続を進めていることが分かる書面」等となります。

 

いずれのタイプも再建に際して直接金銭の支援を行うというものではありませんが、保証をしてもらえることによって円滑な再建が図りやすくなります。ぜひ活用してみましょう。