借金の一本化で本当に返済は楽になるのか?

 

借金に悩む方に向けた広告の中には、「借金の一本化で返済を楽に!」といったものも存在します。

しかし、本当に借金を一本化することで返済が楽になるのか、と疑問に感じている方もいるかと思います。

 

そこで、ここでは借金の一本化をすることで状況がどのように変わるのか、そもそも借金の一本化とは何なのかを解説していきます。

借金の一本化とは

まずは簡単に「借金の一本化」の意味について整理していきます。

 

多くの借金を抱えている方の場合、借入先が複数存在することもあります。

その場合、色んなところへ毎月返済をしなければならないうえに、手続も煩雑となってしまいます。

借金の一本化とは、こうした状況に陥っている方が取る手段で、要は借入先を一つに絞るという行為です。

 

具体的には、ある一つの金融機関等から貸し付けを受けて、そのお金を使って元々借り入れをしていた各債権者に返済をするというものです。

こうすることで比較的金額の大きな借入先が一つだけ生まれます。

 

例えば、3つの金融機関X・Y・Zから借り入れをしており、それぞれに毎月3万円を返済していた人がいたとします。合計で月に9万円の支出です。

借金の一本化をするには、別の金融機関Aから借り入れを行い、まずはXYZへの返済を済ませます。

そしてその後Aだけに集中して月7万円を返していくといったイメージです。

基本的にはそれまでの取引先より金利が低い金融機関を選びます。

債務整理との違い

借金問題の解決方法として「債務整理」というものもよく聞くかと思いますが、借金の一本化は債務整理とどのように違うのか、説明します。

債務整理の種類

債務整理は広い意味であり、細分化すると「任意整理」「個人再生」「自己破産」などに分けることができます。

他にもいくつかありますが、ここでは代表的なものだけを簡単に紹介しておきます。

 

まず任意整理ですが、これは債権者と話し合って減額等を行う手法です。

債権者が納得できる程度には収入が必要となるでしょう。

 

個人再生は、裁判所が介入する手続ですが、任意整理より大きな減額が期待できます。

比較的借金の額が大きな人に向いています。

 

自己破産では、すべての借金を免除することができます。

最も効果の大きな手段ですが、裁判所への申立てが必要で、保有する財産を手放さなければならないなどのデメリットもあります。

それぞれ目的が異なる

上述の通り、債務整理では主に借金の額を減らす、または免除してもらうことがメインの目的となっています。

多くの場合弁護士や司法書士といった専門家にサポートをしてもらいながら進めていくことになります。

一方で借金の一本化は返済総額を減らすことを目的とするのではなく、手続をシンプルにし、月当たりの返済にかかる負担を軽減することを目的としています。

本当に返済は楽になるの?

ここまでで簡単に借金の一本化というものの仕組みを理解していただけたかと思います。

問題は、広告で謳っているように、借金返済の悩みを解決できるのかということです。

結論から言うと、必ずしも状況が良くなるとは限りません。

しかしメリットとデメリットをよく理解して利用すれば改善させることは可能です。

 

そこで、借金の一本化をすることでどのようなメリットがあり、どのようなことに注意が必要なのか把握していきましょう。

借金の一本化のメリット

一本化することのメリットは大きく「返済管理が楽になること」と「金利を下げられること」、そして「月当たりの返済額を下げられること」の3つです。

 

返済先が多くあると、毎月何度も返済手続をしなければならず面倒です。

返済日がそれぞればらばらだと、返済忘れをしてしまうおそれもあります。

どこに、どれだけのお金を、いつ、返さなければならないのか、この管理の手間は一本化することでかなり軽減されるでしょう。

 

金利についても、上限が利息制限法に定められており借金の額が増えるほど、金利は下がるようになっています。

そして一つの借入先に返す金額は増えても、合計額を減らすこともできますので、月々の負担も下げられます。

借金の一本化のデメリット

様々なメリットのある一本化ですが、支払期間が長くなってしまうというデメリットもあります。

毎月の返済額を減らすことが出来る代わりに、下げるほど支払い続ける期間は長くなるのです。

また一本化しても債務整理のように借金額を下げることはできませんし、過払い金を取り戻せないというデメリットもあります。

場合によっては完済後に過払い金の請求をできることもありますが、手続に手間がかかるなどの問題もあります。

 

また誰でも利用ができわけではない点にも注意が必要です。

「おまとめローン」と呼ばれるサービスなど、借金の一本化をするときには審査に通らなければなりません。

返済履歴があり、現状延滞をしていないことが重要になるでしょう。

まとめ

色んな借入先からお金を借りてしまっている場合、可能であればそのまま返済をすべきです。

しかし管理が複雑になってしまっているなどの問題を抱えている場合には借金の一本化も検討してみるといいでしょう。

また、借金トラブルを解決する方法には債務整理などもありますので、まずは弁護士等の専門家に相談することが大切です。