どんなときに法人破産はできなくなるのか!各パターンを解説

法人破産は常にできるとは限らない

会社の経営状態が悪化した場合、任意整理や民事再生などの手続によって復活を図ることがありますが、それでも難しい場合には破産を検討することになります。
そして破産をすることで、大きくなりすぎた債務を免れることができます。

しかしこの破産は、やろうと思ったとき、いつでも実行できるというものでもありません。
法に則った手続を経て、一定要件を満たすことを裁判所に認めてもらうなどのステップを踏まなければなりません。

以下では、法人破産がどのような場合にできないのか、いくつかそのパターンを挙げて解説していきます。

支払不能・債務超過になっていない場合

破産をするには、法定の「原因」がなければなりません。
そしてこのときの原因があると言えるためとは、「支払い不能または債務超過の状態が続いている状態」でなければなりません。

ポイントは、今後も弁済の見込みがないと判断されるような状態であるということです。
一時的に経営状況が悪化したからといって認められるものではないのです。

不当な目的で申立てをしている場合

当然とも言えますが、破産を申し立てた目的が不当と評価される場合にも認められません。

例えば、何かしらの意図があって、わざと債務超過の状態に陥らせた場合などには不当な目的で申し立てたと評価される可能性があります。

他にも、取引先に迷惑をかける目的で、初めから弁済をするつもりもなく取引を繰り返していた場合なども認められないことが予想されます。

ただし、取引先など、利害関係者に迷惑がかかっていてはだめということではありません。
そもそも破産によって免責された場合には債務は消滅してしまうため、取引先等には迷惑・損失を与えてしまうものです。
真っ当に業績を上げるつもりで経営判断をしたのであれば、通常はここで言う不当な目的があるということにはならないでしょう。

申立権限を持たない者による申立ての場合

当然、会社と無関係の者が申し立てても破産の手続は進行しません。
そこで破産の申立は、会社役員、例えば取締役などが行うことができると定められています。

なおその会社の債権者が申し立てることも可能で、例えば債務超過に陥りそうであるにもかかわらず当該会社が無謀な取引をしようとしている場合などには、債権者からの申立てが認められることもあります。
なぜなら債権者は、会社財産からその後平等に配当を受ける立場に立たされるのであり、他の債権者や負債額が増えてしまうと受け取ることのできる配当額が下がってしまうなどの損失を被ることになるからです。

予納金が支払えない場合

以上のケースに該当しなかったとしても、破産をするための費用が支払えなければ手続を進めることはできません。
そして費用にもいくつか種類がありますが、特に割合多く占めるのが「予納金」です。

これは破産手続開始決定後、会社財産を会社に代わって管理し、換価等を行う管財人に対する報酬として支払うお金です。
そのため財産状況や利害関係等が複雑であるほど、つまり、管財人の仕事が増えれば増えるほど多く設定されることになります。

少なくとも数十万円は必要になり、法人の破産においては数百万円がかかってしまうことも珍しくありません。

この費用は後払いにすることはできず、いつまでも支払いができずにいると、手続も進まずに滞ってしまいます。
さらに長期に渡り手続がストップした状態が続くと、破産の申立が却下または棄却される可能性もありますので、このような事態に陥らないよう、計画的に破産に着手することが重要と言えるでしょう。

まとめ

法人破産をするには、会社を持ち直すことができないような状況であることが前提となります。そして申立権限を持つものが、不当な目的なく、裁判所に申立を行い、予納金を全額納めることが必要です。