純粋私的整理のメリット・デメリット!準則型私的整理との違いなど

債務整理には、破産や民事再生のような「法的整理」とは別に「私的整理」と呼ばれる手法もあります。そしてこの私的整理をさらに分類して「純粋私的整理」と「準則型私的整理」に分けて考えることもあります。

この記事では特に純粋私的整理に着目し、準則型と何が違うのか、債務整理全体から見たときのメリットやデメリットについても解説していきます。

純粋私的整理とは

私的整理をするのに裁判所に申し立てをする必要はありません。

しかし債務整理手続を進めるのに公正中立な立場である第三者を挟むケースがあります。こちらは「準則型」と呼ばれる債務整理であり、ある制度に従い再生計画案などを策定することになります。

他方で、純粋な私的整理はこのような機関を介することはありません。

債務者が債権者と直接やり取りをして調整していくことになります(なお実際は弁護士を代理人とすることが多い)。

純粋私的整理のメリット

純粋私的整理である場合、間に立つ第三者の存在がないため信用不安を抱くことがありません。手続の密行性が高く、再建を図ろうとしていることを周知されるリスクを下げることができます

 

また、手続が簡単なこと、短期間で済みやすいことも大きなメリットです。

どのように手続・交渉を行うのかは当事者の自由ですので、好きなように進めることができます。

このことに付随して、低コストで済むのもメリットです。
裁判所に申立費用を納める必要がありませんし、必要になるのは弁護士等に相談・依頼したときの費用のみで済みます。

 

ただし、債務整理が成立するかどうかも当事者らに完全に委ねられているため、最終的には合意に至らなければなりません。

 

純粋私的整理のデメリット

当然、メリットだけでなくデメリットもあります。

例えば厳格なルールがないことから、交渉力の差が不公平な結果を導くおそれがあります。
十分な情報開示がなされなければバランスの取れた債務整理ができませんし、そのためにも債務者側に専門知識が備わっていなければなりません。

比較的自由に進められる手続とは言え、それは双方に債務整理に関する十分な知識やノウハウがあってのことです。
債権者に関しては業務として行っているケースが多いためあまりこの点問題になることもありませんが、債務者はどのように対応すれば良いのかわからず悩むことも出てくるでしょう。

そのため弁護士等の利用は必須と捉えておいた方が良いでしょう。

 

また、債権者側には税務上の難点もあります。純粋私的整理だと、債務整理による損失を損金として計上できるかどうかが定かではないからです。債務者としても免除・減額された債務につき課税の問題が生じ得ます。