事業再生手続の種類を紹介|私的整理や法的整理について

事業が立ち行かなくなったとき、大きな転換点として「事業再生」の道を選択することがあります。

上手くいけば会社を立て直すことができますが、様々な種類があるため自社に適したものを選択することがとても大事になってきます。

ここではその事業再生の種類について紹介します。

法的整理と私的整理

事業再生は「法的整理」と「私的整理」に分けることができます。

法的整理とは裁判所を使う債務整理のことで、例えば民事再生手続や会社更生手続などが挙げられます。裁判所を介して債権者にアプローチをかけられることで、債務整理としてより強い効力が期待できます。すべての債権者の同意を得なくても、強制的に手続を進められるという利点を持つのも特徴です。

私的整理とは裁判所を使わない債務整理のことで、さらに①純粋私的整理と②準則型私的整理に細分化ができます。①は、純粋に当事者間だけで話を進める私的整理で、一般に「任意整理」と呼ばれています。②は、当事者間の話し合いが軸にはなりつつ、特定のガイドラインやスキームを使う私的整理のことを指しています。

民事再生とは

法的整理の代表例が「民事再生」です。

個人の方がよく利用する個人再生は、この民事再生の特則として進める手続のことで、会社の場合は民事再生法規定の原則的な民事再生手続を進めていくことになります。

民事再生では、裁判所に再生計画を提出し、その内容が認められることによって大幅な債務の圧縮が可能となります。破産手続のように管財人は選任されないため、現行の経営者がそのままトップに立ち続けることができます。

会社更生とは

株式会社だけに認められる事業再生手続が「会社更生」です。

民事再生と異なるのは管財人が裁判所から選任されるという点、そして債権者による担保権実行が認められなくなる点にあります。

再生計画を策定するのは共通していますが、その作成は管財人が担い、当該再生計画が認められるための要件も違っています。

基本的には規模の大きな株式会社が利用する手続と覚えておきましょう。

任意整理とは

任意整理は個人でもよく利用する再生手続です。

上手くいくかどうかは別として、手続自体はもっとも簡単で、費用も大して必要ありません。交渉がスムーズにいけば短期的に終わらせることも可能です。

任意整理の場合は債権者との直接交渉が必要であり、相手方の同意が得られないときは解決ができません。なお、任意整理で負担が減らせるのは債務の元本ではなく利息分に限るのが一般的です。