株式会社などの法人は、①解散と②清算の2つの過程を経て消滅します。
このうちの解散については任意解散と強制解散があり、ここでは任意解散がどういったものなのかを紹介します。
任意解散について
株式会社が解散する事由は会社法に規定されています。
例えば「株主総会の決議による解散」「合併をしたことによる解散」「定款の定めに従って行う解散」などの事由です。そしてこれらの事由については会社のする意思決定に基づくため、任意解散と呼ばれています。
つまり任意解散と強制解散は、会社自身が解散を決めたのかどうかによって区分されます。
株主総会決議による解散
任意解散のうちよくあるパターンが「株主総会決議」によるものです。
解散についての決議は株主総会、それも特別決議というハードルの高い要件を満たすことによって可能となります。
合併をしたことによる解散
昨今はM&Aも盛んになっており、「合併」という手続により力を強める会社が出てくる一方で消滅する会社も出てきています。
合併には吸収合併と新設合併の2種類があるところ、いずれの方法を選択しても消滅会社は出てきます。
- 吸収合併の場合:複数の会社のうちどれかが他方を吸収する形で存続し、吸収される側は消滅するために解散となります。
- 新設合併の場合:当時会社すべてが消滅し、それら会社が持っていた権利義務を新たな会社に承継させます。当時会社は法人格を消滅させるために解散の手続を行うこととなります。
定款の定めに従って行う解散
定款に解散する条件を定めていた場合、それを満たすことで会社は解散をすることとなります。
具体的な解散事由を定めることもできますし、存続期間を定めて時間の経過により解散となるケースもあります。
解散と清算は何が違うのか
上記の解散事由によって会社が解散することになっても即座にすべて存在が消えるわけではありません。解散とは事業活動をすべて終わらせることを意味しており、その後は当該会社に残った権利義務を解消していかないといけません。
その手続を「清算」と呼んでいるのです。
そこで清算手続においては、取引先との間で債権回収をしたり債務の弁済をしたりすることとなります。なお、清算手続にもいくつか種類があります。
任意清算後は「通常清算」と呼ばれる手続に進むことが多いでしょう。会社自ら選任した清算人が権利義務を整理していきます。
一方で、倒産状態に陥ったときは清算手続のうちの「破産手続」へと進むことになります。このときは裁判所が選任した破産管財人が権利義務を整理していきます。