自己破産をするとき、「破産手続」についての要件を満たすだけでなく、「免責手続」についての要件も満たさなくてはなりません。
免責手続を進めて免責許可を受けることが債務者にとって非常に重要なのですが、当記事では免責許可をもらうための要件を紹介します。
破産手続と免責手続の違い
自己破産を完遂するには①破産手続と②免責手続をクリアしないといけません。
破産手続は清算手続を意味しており、債務者の財産を換価処分するなどの手続を指しています。
一方の免責手続はその名の通り責任を免除してもらうための手続です。
自己破産をする方は債務超過に陥っていると思われますが、清算手続によっても弁済しきれなかった分について免除をしてもらう必要があるのです。
なお、法人のする自己破産については免責手続が不要です。なぜなら清算を行うことで法人格が消滅し、債務の履行義務を持つ主体が消えてなくなるからです。
免責手続は破産手続と同時に申し立てを行う
破産手続と免責手続を行う必要があるのですが、破産手続の申し立てをすることで、免責許可の申し立てもなされたとみなされます。
これは破産法に規定されたルールであり、基本的には別途申し立てを行う必要がありません。
免責不許可事由に該当しないことが必要
免責許可を得るための重要な要件は「免責不許可事由に該当しないこと」です。
この事由も破産法に列挙されています。
- 財産を隠す行為
- 特定の債権者だけ特別扱いして弁済を先にしてしまう行為
- 債務超過になった原因がギャンブルにある
- 借入をするときに債権者を騙した
- 裁判所が情報提供を求めたとき、虚偽の情報を伝えた
- 過去7年以内に免責許可を受けている
このような事由に該当してしまうと、免責許可を得られない可能性が高まります。
ただしこれら免責不許可事由への該当によって、絶対に免責許可を得られなくなるということでもありません。裁判所がその他の事情も考慮して、免責を認めるケースもあります。
あとから免責許可を取り消されることもある
いったん免責許可が得られたとしても、その免責は今後絶対的に保証されるわけではありません。
破産手続に関して詐欺行為などをはたらいたとき、免責が取り消されることも予定されているのです。このことも破産法に規定されています。
そこで、財産を隠したり壊したり、債権者に損害を被らせるための行為をはたらくことは絶対にないようにしなくてはなりません。しかもこういった行為は犯罪でもありますので、刑罰も予定されています。