ここでは自己破産をする場合の流れや基本的な知識を紹介しています。
これまで考えたこともなかった破産というものについてここで知り、実際に着手するということになっても初動をスムーズに進められるようになっていただければと思います。
またこれに関連して債務整理という言葉もよく聞くかと思います。
似た手続きも色々とありますので、混乱のないように整理していきましょう。
「自己破産」と「債務整理」の違い
債務整理とは、債務を整理するための各手続きの総称を言います。
債務とは簡単に言うと借金などのことです。
つまり過多となってしまった借金などを整理して、再出発をするための手続です。
そしてこの債務整理の中に自己破産があるのです。
借金等の債務をすべて免責してもらい、なかったことにするための手続です。
裁判所に申立てをして進めることになり、債務整理の中でも強制力の強い手続きと言えるでしょう。
他には「個人再生」や「任意整理」などがあります。
個人再生ではすべてを帳消しにするのではなく、借金を減額する手続になります。
任意整理は裁判所を介しません。
弁護士を通して債権者と交渉し、借金の減額などを調整していく手続です。
つまり、任意整理で解決を図ることができず、個人再生による減額でも再生を図れない場合などの最終手段として破産をするのです。
もちろん、任意整理の手続から順番に進まなければならないものではなく、状況に応じていきなり破産することも可能です。
自己破産の流れ
破産をする場合の基本的な流れを説明していきます。
まずは弁護士への相談と財産状況などの情報収集を始めます。
そして正式に弁護士へ依頼後、受任通知を債権者に送ります。
その後裁判所へ申立てを行い、破産手続開始決定後は流れが二手に分かれます。
一つは破産管財人の選任から債権者集会の開催、配当手続後免責許可という流れです。
もう一つは、管財人は選任されず、破産手続開始決定と同時になされる同時廃止決定という流れです。
破産の申立てまで
まずは弁護士などの専門家に相談を行いましょう。
そして自身の財産について調査を行います。
不動産を所有している場合には方針が変わってくることもあるため、大きな財産についても事前にしっかりと伝えておきましょう。
プラスの財産だけでなく、債務状況も当然まとめていきます。
特に債権者には誰がいるのか、といった情報は重要になってきます。
弁護士は正式に依頼が決まれば、調査の結果発覚した債権者たちに受任通知が出されます。
これはただ単に破産にあたり弁護士が受任したと知らせるだけのものではありません。
受任通知を出すことで取立てを止める効果があるのです。
弁護士がついたことによる事実上の効果だけでなく、こうした法律上の効果もあるため、受任通知を出すタイミングは非常に重要なものとなってきます。
その後は裁判所に提出するための資料を用意します。
破産は、申立てをすれば必ずできるというものでもありません。
債務がすべて免責されると本人は再スタートを切る良いきっかけにできるかもしれませんが、債権者には多大な迷惑をかけることになります。
そのため要件を満たしているかどうか、裁判所が資料を通じて判断していくことになります。
提出することになる資料は、給与明細や源泉徴収票、退職金に関する書類、保険や不動産・自動車に関する書類、賃貸借契約書などです。
他にもそれぞれの財産状況に応じて必要な資料は変わってきますので、弁護士に相談して具体的なアドバイスを受けるようにしましょう。
申立て後の手続き
申立て後、管財人が選任されるパターンとそうでないパターンとに分かれると説明しました。
原則は管財人が選任される「管財事件」と呼ばれる手続きです。
そのため、自身の財産は管財人が選任された後、自分で処分等をすることができなくなり、すべて任せることになります。
そして管財人が仕事をする分、対価として予納金を裁判所に納めなければならなくなります。
破産をするにも費用が必要ですので、その点注意が必要でしょう。
管財人は破産者の財産が散財しないようしっかりと確保し、最終的に残った財産を債権者に分配していくことになります。
これに対し同時廃止手続きでは破産手続の開始と同時に手続きが終了することになり、管財人が仕事をすることもありません。
そのため終結までの期間も短く、費用も少なくて済みます。
ただし要件としては破産費用の余裕がないことや、本人に免責不許可事由がないことなどが求められます。
細かくは各裁判所の運用により異なる部分もあるため、弁護士のアドバイスを受けるようにしましょう。
まとめ
自己破産と債務整理というものについて簡単に説明し、手続の流れを紹介してきました。
まずは弁護士に依頼し受任通知を出してもらうこと、そして財産調査を行い、その資料と共に裁判所へ破産の申立て。
申立て後は管財事件または同時廃止として手続を進めるということでした。
費用はそれぞれの流れによって異なり、弁護士費用がかかることも忘れないようにしましょう。