自己破産と結婚生活(3)自己破産するなら結婚前がおすすめ?

自己破産をするなら結婚前がおすすめな理由

自己破産をする場合、結婚前にした方がいいのか、あるいは結婚してからの方がいいのかどちらでしょうか。
これについてはいろいろな考え方がありますが、結婚前に自己破産する方がいいと考えることができます。

家計の状況を裁判所に提出しなければならない

自己破産をする場合、裁判所に直近2か月の家計の収支状況を報告しなければなりません。
収入はどれくらいあるのか、家賃や食費、光熱費、娯楽費などの支出はいくらぐらいあるのか、逐一報告が求められます。
自己破産する人に関するものだけではなく、結婚している場合はその家族に関するものも報告対象となるため、非常に手間がかかります。
また、ほとんどの人は、家計を知られたくないでしょうから、心理的な負担も大きなものとなります。
自己破産する人の配偶者の立場からすると、家計の状況を知られることには大きな抵抗があるのです。
結婚前で1人暮らしの人は、自分1人の家計状況を報告するだけで済むのです。

家族の給与明細を提出しなければならない

家族がいる場合、自己破産の手続きの中で家計の状況を報告する際に、同居する人の給与明細の提出が求められます
自己破産の手続きのためであり、仕方ないと考えてくれるかもしれませんが、気分的にはいいものではありません。
できれば結婚する前に自己破産をして、このような手間を配偶者にかけないようにすべきなのです。

財産の処分による影響が大きい

家財道具については、基本的に自由財産に該当するため、差し押さえの対象から外れます。
しかし、20万円を超えるような高額財産については、生活必需品とみなされない可能性もあります。
そのため、結婚後に購入した財産を没収されてしまう可能性もあるのです。
また、車や家を購入している場合は、差し押さえの対象となります。
そのため、結婚して時間が経過するほど、自己破産した時の影響が大きくなる可能性が高いのです。

結婚後に自己破産をするときの注意点

最後に、結婚してから自己破産をしなければならない状況となった場合の注意点を解説しておきます。
結婚前に自己破産する方がいいと考えられますが、結婚後になってしまう場合もあります。
この場合、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

家族に秘密にすることはほぼ不可能

自己破産の手続きを、家族に内緒で進めたいと考えるかもしれません。
しかし、実際には家族に内緒にしたまま自己破産することは非常に困難です。

まず自己破産の手続きを始めると、家計の状況を報告しなければなりません。
もし配偶者が給与所得者である場合、その給与明細が必要になるため、自分だけで勝手に進めることは難しいのです。
また、破産手続きにより自宅や車、預金口座などの財産が処分されてしまいます。

このように、これまでどおりの生活を続けることはできませんし、黙っていてもいつかはばれてしまうでしょう。
はじめから家族にきちんと状況を説明し、どのような手続きを進めているのかを報告した方がスムーズに進められます。

配偶者が保証人となっている場合は要注意

配偶者が保証人となっている場合は、特に注意が必要です。
自己破産をした人について債務の返済義務が消滅すると、債権者は保証人に対して返済するように請求してくるためです。
そのため、配偶者が本人に代わって債務の返済義務を負うことになるのです。

しかし、この場合、配偶者も債務の返済をできる状況にはないケースがほとんどです。
すると、自己破産による直接の影響はなくても、配偶者も保証人となっているために自己破産するしかなくなるのです。
借入をするためには配偶者が保証人にならざるを得ないのですが、保証人になることには大きなリスクがあると覚えておきましょう。

同居する家族にも影響が及ぶことがある

自己破産をした場合、信用情報機関に自己破産したという記録が残るのは、破産した本人だけです。
つまり、配偶者や子供などの情報が信用情報として残ることはありません。
しかし、同居する家族がクレジットカードを作ったりローンを組んだりしようとする場合、思わぬ影響が生じることがあります。

それは、破産した人と住所が同一であるために、審査が厳しくなる場合があるということです。
必ずしも審査が通らないわけではありませんが、通常であれば審査を通っているようなケースでも通らなくなることがあるのです。

住所が別であれば、仮に破産者の配偶者や子供であっても審査に対する影響はありません。
審査が通るか不安な場合は、あらかじめ別居しておくといった対策をする必要があります。

まとめ

自己破産と結婚を同時期に考えている場合、どちらを先にすべきかで悩んでいる方もいるかと思います。
この点については、結婚より前に自己破産し、その後結婚する方が自己破産の手続きもスムーズに進められると考えられます。
自己破産しようかどうしようかと考えている状態で結婚しても、新生活に対する不安は尽きません。
相手に不安を与えないためにも、結婚前に破産手続きを完結してから結婚し、新たなスタートを切るようにしましょう。