「倒産」と「破産」、「廃業」、「破綻」の意味の違いを解説!

 

 

倒産や破産、廃業、破綻などはいずれも似たような使われ方をしています。しかし厳密には異なる意味を持っていますので、経営をしている方はその使い分けができている必要があります。この記事で整理しておきましょう。

 

倒産は債務整理手続全般を指す

まず倒産についてですが、法的に厳密な定義はありません。

破産のみならず、民事再生や任意整理、特定調停、特別清算など、債務整理関係の幅広い手続を総称した用語といえます。

また、債務超過に陥った状態そのものを指して使われることもあります。
そこで、「あの会社は債務超過にある」を「あの会社は倒産状態にある」と言い換えることもできます。

 

破産は破産法に規定されている手続のこと

倒産とは異なり、破産は厳密な定義があります。

破産法を根拠とする債務整理手続の1種で、会社財産の清算、法人格の消滅などが起こる手続です。

そのため倒産手続の中でも「清算型」と呼ばれるタイプです。

会社のみならず、個人も破産は行うことができます。ただ、個人に対して倒産という言葉は使われませんし、破産後の存在の有無についても違いがあります。
当然ながら、個人が破産をしてもその方自身が消滅することはありません。自然人としての人格は残ります。
しかしながら、法人破産では法人格が消滅し、存在が消えてなくなってしまいます。

こうした違いがあることから、免責手続の有無にも違いが表れます。
個人のする破産では、自然人の消滅は起こらないため、その自然人に対する免責を認める手続が必要なのです。これに対して法人破産では法人格自体がなくなるため、免責手続は必要がありません。債務者自身が消え、免責の対象もいないからです。

 

廃業や破綻について

廃業破綻は、より抽象的な言葉です。

倒産にも近い言葉ですが、手続としての意味合いも持つ倒産とは異なり、こちらは状態や結果を指す言葉です。

例えば廃業については、「あの会社は破産に伴い廃業した」「あの会社は好調であったが、経営者が高齢であったため廃業した」と使うことができます。
例文にある通り、廃業は事業を閉じた状態や結果を指すのであり、必ずしも倒産状態にあるわけではありません。業績が好調であっても、事業を閉じたのであれば「廃業した」ということができます。

一方、「破綻」に関しては、より倒産に近い言葉です。
「債務超過によりあの会社は破綻状態にある」「あの会社はすでに破綻している」などと使われる例が挙げられます。
ただし破綻も状態や結果を指す言葉であり、倒産手続のように「破綻手続」と表現することはありません。よって、破産や民事再生などの手続を内包する言葉ではない点で倒産と相違すると説明できます。