ほとんどの方は倒産の経験もなく、最初に何からすればいいのか分からないという悩みもあるかと思います。
そこで今回は、倒産を考えた場合、何から着手すべきなのか紹介していきます。
できるだけスムーズに手続きが進められるよう、この記事を参考にしていただければと思います。
事業を止める日の設定
まずは、いつ事業を停止させるのか決めましょう。
実はこの事業停止予定日は、倒産において非常に重要なポイントです。
そしてこの事業停止の事実を周囲に知られないようにするのも大切になってきます。
内密に倒産の検討をする必要がありますが、このことは従業員に対しても同様です。
そこで、手続に協力をしてもらう必要のある、ごく一部の者にだけ事実を伝え、情報が出回らないように配慮しましょう。
会社が倒産してしまうとの情報が外部に漏れてしまっては、取引先が売掛金を回収しようと催促を受けることになるでしょう。多数の取引関係があると、それだけで対応に追われ、事業を停止するまでの業務もままならない事態に陥る恐れがあります。
そこで、手形や小切手の不渡りといった情報には注意しましょう。
こうした情報から破綻状態が知られてしまう可能性があります。
そのため事業停止予定日は、不渡り予定日までに設定することになるかと思います。
遅くともその日までには停止させないと債権者からの取立てなどが始まってしまうかもしれません。
同然、事業の停止となれば従業員の解雇もしなければなりませんし、事業の停止後は盗難等のリスクも高まるためこの点配慮して財産を守らなければなりません。
そのためにも事業停止をした後は、できるだけ早急に倒産手続を進めるようにすべきです。
倒産にかかる費用の確保
意外に知られていないことですが、倒産をするにも費用がかかります。
それも結構な額です。
100万円以上することも珍しくなく、この費用は負債の額や債権者数によって大きく増減します。
これは予納金と呼ばれ、多くは破産管財人に対する報酬という形で支払われます。
破産管財人とは、破産手続開始後、会社の財産を管理する役割の人のことです。
破産手続では、経営者でもその後会社の財産を管理することはできなくなり、破産管財人が管理・換価、そして最終的に債権者に配当していくことになります。
もちろん、経営状態は破綻しているためすべてを弁済することはできませんが、少しでも残っている財産については債権者に弁済するということになるのです。
仕事量も多いため、この予納金の額は大きく、倒産をするためには予納金の確保を意識しなければなりません。
また通常は弁護士に頼んで各種手続きをしてもらうことになるため、弁護士費用も必要で、その他印紙代・郵便切手代などが必要となります。
費用が準備できないと基本的に倒産できません。
事業停止予定日を設定したとしても、費用が準備できないせいでその後のスケジュールが狂ってしまうこともあります。
倒産することが周囲に知られてからはスピード勝負にもなるため、できるだけ費用の確保については初期の段階で進めていく必要があるでしょう。
財産状況の確認できる資料の準備
上述の通り、倒産の手続では、会社の残っている財産を債権者に分配することになります。
そのため資産や負債の状況が正確に分かる資料を準備しなくてはなりません。
この資料は手続の申立の際、裁判所に提出することになります。
集めるべき代表的な資料には、決算報告書や預金通帳、商業登記簿謄本、不動産の登記事項証明書などがあります。
さらに必要に応じて賃貸借契約書およびリース契約書も準備しましょう。
そしてこれらの資料をもとに資産と負債の状況が分かる一覧を作成します。
債権者一覧表では債権者の住所や名称、負債の種類および金額などをまとめていきます。
その際平常取引のない債権者を忘れないよう記載しましょう。
利害関係者への対応
倒産は手続が開始されるまでは内密に進められます。
そこで従業員や取引先などは突然会社が倒産することを知るため、不測の損害を被るおそれがあります。
倒産では、こうした利害関係者への配慮も必要になります。
従業員について
多くの従業員には事業停止日まで伝えませんので、当日に突然解雇を言い渡すことになります。
すると解雇予告手当というお金を支払う必要が出てきます。
法律では、会社側から解雇を言い渡す場合、30日前もって言うことが求められており、30日より短い期間で言い渡した時にはその期間分の手当を支払うよう定められています。
さらに事務処理としては、離職票や源泉徴収票の作成などももちろん必要です。
突然の解雇であっても、手当の支払や事務処理はきちんとする旨伝え、少しでも従業員の負担を軽減させてあげられるよう配慮しましょう。
取引先について
得意先がいる場合、いきなり商品の出荷等が止まるため迷惑をかけることになります。
事業停止日までに納品を済ませるなどの対応を検討しましょう。
逆に自社が仕入れをしている場合、その支払いが滞ることになります。
しかし長く取引があったからと特定の取引先に支払いなどをする行為は、紛争の原因となりますので避けるようにしましょう。
また事業停止が分かっている段階で普段以上の仕入れをすることなどもトラブルになりかねませんので避けるべきでしょう。