自己破産をするのは勇気のいることだと思います。
今後の生活を大きく左右する非常に大きな決断となりますし、裁判所も介した法的手続きを採ることとなり、債権者にも負担を強いることになりますので気軽に進められるものではないでしょう。
また、これらのことに加え「破産後の生活の制限」に不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。
具体的にどのような制限がかかるのか把握しないまま、漠然と不安を抱えている方も少なくないと思いますが、しっかりと理解すれば、想定ほど制約がかかるわけではないことに気が付くかもしれません。
自己破産をした後でも会社設立は可能
「自己破産をすると会社を設立することができない」と捉えている方もいます。
しかしこれは間違いです。
というのも平成18年までは、破産手続開始決定後、復権していない者に関して取締役の欠格事由に該当することが法定されていたという背景があるからです。
しかしすでに法改正がなされており、このようなルールに従う必要はありません。
破産手続開始決定を裁判所から受け、いまだ復権をしていなかったとしても、自身が取締役となり、会社設立をすることはできるのです。
このような法改正は、中小企業において経営者が会社と連帯して保証せざるを得ない事情があり、会社倒産に伴い経営者自身も自己破産してしまうことが多くあったことと関係しています。
破産後の経営者がなかなか市場に参入できないのは経済的にも好ましくなく、破産者個人にとってもデメリットが大きいです。
再度のチャレンジを早期にできるようにした方が良いという考えに至り、取締役の欠格事由にはならないようになったのです。
なお、破産をした者であっても復権をしているのであれば、法改正がなされる以前でも会社設立ができない理由にはなりません。
現取締役が破産者となったときは一度退任することになる
破産後でも取締役になることはできますが、破産前に取締役であった者は、破産することで一度その立場を退任することになります。
なぜなら会社と取締役を結ぶ委任関係は破産により終了することが法定されているからです。
そのため継続して取締役として居続けるには、退任後、再度株主総会にて選任される必要があります。
破産後、一部の業種はできない
会社設立自体はできても、特定の業種については法令上許認可を得る必要があり、そちらの制度上欠格事由にあてはまってしまうことはあります。
例えば建設業の許可を得るには破産者であってはいけません。
しかしながら、この場合でも復権をすることで問題なく事業を始められるようになります。