雇用調整助成金と産業雇用安定助成金の違いとは?

雇用を維持するために活用できる助成金は1つではない

新型コロナウイルスの流行によって、多くの企業がダメージを負っています。そうした企業が対策として従業員の解雇をするケースがあります。

しかし、これを防ぐための制度がいくつか設けられています。

1つが「雇用調整助成金」、もう1つが「産業雇用安定助成金」です。

どちらも似た制度ですが、厳密には異なっており、従業員の維持を図る企業はこの両制度について知っておくことが大事です。

雇用調整助成金と産業雇用安定助成金の違い

いずれも制度の趣旨も類似しています。

新型コロナウイルスの流行によって影響を受けた企業が縮小を余儀なくされ、雇用の維持が難しくなった状況において利用できる助成金制度です。

大きな違いとして以下の3点が挙げられます。

  1. 助成対象の事業主の違い
    雇用調整助成金においては、従業員を出向させた場合、出向元の事業主だけが助成対象となる
    しかし、産業雇用安定助成金であれば出向先の事業主も助成対象とされている
  2. 助成率の違い
    雇用調整助成金において、出向に対する助成率は中小企業で3分の2、大企業で2分の1である
    しかし、産業雇用安定助成金では一定の要件を満たすことで中小企業は10分の9、大企業は5分の4という大きな助成率となる
  3. 対象経費の違い
    雇用調整助成金においては、出向に際しての賃金だけが対象とされている
    しかし、産業雇用安定助成金では出向期間中、その運営に要した経費や出向開始前に支出した経費も含まれる

 

雇用調整助成金は、解雇せず休業という選択肢を採り、そのときの手当を助成するという大きな役割を持ちます。その対象に出稿も含まれるという形です。

一方で産業雇用安定助成金の方は出向に着目した制度ですので、出向に関してだけいえば、より支援の幅も程度も大きいと言えるでしょう。

出向先まで対象となる上、非常に高い助成率、対象経費も多岐に渡ります。

他の制度との併用に注意

助成金は別の助成金制度による支援を受けている場合には併給ができないケースがあります。

例えば産業雇用安定助成金に関して、同時期に「同一賃金の支出に関して他の助成金を利用している」場合には対象から外されることが明記されています。

同一の教育訓練による経費に関して助成金を受けている」ケースでも同様です。

そのため助成金による支援が受けられる場合でも、自社にとって最適な支援となるものを活用できるよう、よく検討する必要があります。