自己破産を申し立てた方は、裁判所から破産手続開始決定を受けることにより「破産者」となります。その結果、様々な権利につき制限がかけられ、国家資格等に基づく仕事などができなくなります。
しかしその期間は復権までです。
復権によって資格制限は消滅し、元の法的地位を取り戻すことができるのです。以下で、どのような場合に復権されるのか、復権の事由を解説していきます。
破産法第255条に復権事由が規定されている
破産に関して規律した破産法では、その第255条1項にて、復権の事由を規定しています。
第二百五十五条 破産者は、次に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、復権する。次条第一項の復権の決定が確定したときも、同様とする。
一 免責許可の決定が確定したとき。
二 第二百十八条第一項の規定による破産手続廃止の決定が確定したとき。
三 再生計画認可の決定が確定したとき。
四 破産者が、破産手続開始の決定後、第二百六十五条の罪について有罪の確定判決を受けることなく十年を経過したとき。
第1号には「免責許可決定の確定」とあります。
免責許可決定を受けた段階で復権するのではなく、その効果が「確定」した段階で復権するという点、混乱のないようにしましょう。
第2号および第3号も同様です。破産手続同意廃止決定が確定、再生計画認可決定が確定したときに復権すると規定されています。
なお第4号にて、免責許可の決定とは別に、破産手続開始決定から詐欺破産罪の有罪確定判決を受けず10年を経過しても復権する旨規定されています。
そのため、同罪を犯さなければ最大でも10年で自動的に復権するということなのです。
なお、同条第3項では、「免責取消の決定」または「再生計画取消の決定」をされてしまいこれが確定したときには、復権の効力は失われるとあります。
つまり、免責等の決定を受けたとしても、何かしらの理由によりこれが取り消されると再び破産者に戻り資格制限等に服することとなるのです。
申立てによる復権も可能
上で説明した復権の事由は、法定の事由により当然に復権するという「当然復権」に該当します。
これに対し、申立てによる復権という別の類型も存在しています。
破産法第256条1項に規定されています。
同条項では「債権者に対して弁済をしたり、債権者から免除を受けたりしたときには、申立てにより復権の決定が得られる」といった内容が規定されています。
そのため当然復権が認められなくても、弁済等をするか、債権者の許しを得ることができたのなら、申立てをすることで復権ができるのです。
しかも同条項には、裁判所が復権の決定が「できる」のではなく、復権の決定を「しなければならない」と規定されており、条件を満たせば必ず復権ができます。