自己破産にもメリットがある?債務者が自己破産の検討にあたり知っておきたい知識

 

 

「自己破産」と聞くと非常にネガティブな印象を持つ方が多いのではないでしょうか。実際自己破産は、債務超過に陥り借金などを返済できなくなった場合の最終手段として行う手続であり、できれば避けたい手続です。
しかし返済ができない債務を抱え続けるより、適切なタイミングで自己破産という選択を取った方が良い結果になることもあります。

ここで、債務者にとって自己破産をすることのメリットをまとめていきます。

 

免責決定により債務が免除される

自己破産をする一番の目的は「債務をなくすこと」ではないでしょうか。
ただし勘違いをしてはいけないのが、“破産手続開始決定自体が債務の免除という効果を生じさせるのではなく、免責手続に基づく免責決定により債務が免除される”ということです。

つまり、裁判所に申し立てをして破産手続開始決定を受けても、それだけで債務がなくなるわけではありません。併せて免責手続を進め、所定の免責不許可事由に該当しないことが求められます。
「債務超過に陥ったといいつつ財産を隠している」「債務超過後も虚偽を用いて借り入れを繰り返していた」といった特別の事情がある場合には免責許可は下りません。

 

貸金業者からの取立てをなくせる

借金を返せず、返済期日も過ぎてしまっている場合、貸金業者あるいはその委託を受けた業者から取立てを受けます。
これが精神的な負担となり、普段の生活も苦しくなってしまう方もいます。

しかし自己破産をするという大きな決断をすることで、こうした取立て・請求に追われる日々から脱却することができます。
もちろん自己破産にもリスクはありますが、全債務を弁済することが困難で、取立てで精神的にも追い詰められているような状況があるのなら、自己破産も視野に入れた方が良いかもしれません。

なお、取立てを早期にストップさせるには裁判所への申し立て以前に弁護士に依頼をしておくことが重要です。
弁護士に正式依頼をすれば、弁護士がそれ以降債務者の窓口となってくれますし、債権者らに受任通知を発出してくれます。この通知には取立てを停止させる効力がありますので、落ち着いて手続の準備が進められるようになるでしょう。

 

生活のやり直しができる

自己破産をすることで、多くの財産を失うことになるでしょう。持ち家や自動車などもすべて処分され、債務に充てられます。

これは大きなデメリットでもあるのですが、最低限生活に必要な財産は残してもらえます。一切の財産を奪われてしまっては生きることができないからです。法的にその権利が認められていますので、「明日の食事もできなくなる」「ホームレスになってしまのではないか」などと過度な心配をする必要はありません。

そのためこれまでの大きな財産を失う覚悟さえあれば、債務を清算し、生活のやり直しができるという点でメリットがあると言えるでしょう。