自己破産をした場合、「破産者」としての立場になり、様々な資格制限がかかってしまいます。
この記事では、破産者がどのような点で制限されるのか、具体的にどの資格が制限されてしまうのかをまとめていきます。
破産から復権までは資格制限がかかる
各種法令にて、破産者には資格制限が設けられています。
そこで、破産手続開始決定後はある資格につき登録ができなくなったり、すでに得ていた資格が失われたりもします。
制限がかかる資格に基づいて仕事をしている場合には、一定期間当該職業が遂行できなくなるというリスクも負うでしょう。
しかしながら、この制限を受けるのは「復権」までです。
そのため、破産をしたからといってその後ずっと「資格が取得できない」「職種に制限がかかる」といった制約がかかり続けるわけではありません。
そしてこの復権は裁判所による免責許可決定の確定を受けることで認められるのが一般的です。同時廃止事件と呼ばれる破産手続であれば、およそ3ヶ月で復権することができますので、この期間のみの制約であると認識しておきましょう。逆に管財事件と呼ばれる比較的規模が大きく複雑な事案の場合にはもっと長い期間を要することも珍しくありません。
制限される資格
破産者となることで制限される資格として以下が挙げられます。
- 弁護士(および司法修習生)
- 公認会計士
- 税理士
- 司法書士
- 行政書士
- 弁理士
- 社会保険労務士
- 土地家屋調査士
- 後見人、保佐人、補助人(およびそれぞれの監督人)
- 通関業の許可
- 酒類製造・販売の免許
- 一般建設業許可
- 貸金業の登録
- 旅行業の登録
ここで挙げたのは一例に過ぎませんので、視覚に基づいて仕事を行っている方は各自確認をすることが大切です。
取締役への就任は復権前でも可能
かつては破産者だと取締役に就任することができないという法的な取扱いを受けていました。
しかし、法改正がなされ、破産者のまま(復権を得ないまま)就任することが可能となっています。その結果、自己破産をした経営者がすぐに会社を立ち上げて事業を始めることも可能になっています。
クレジットカードの利用など事実上の制約は残る
破産者に対する制約は法定されている事柄に限られません。
例えばクレジットカードの利用などに関しては、法律の定めとは別に、事実上の制約を受ける可能性が高いです。しばらくはクレジットカードが利用できなくなるおそれもありますし、その他生活に対する事実上の問題は生じ得ると認識しておくことが大切です。