連鎖倒産の問題
企業活動は、一つの企業だけで完全に独立して行えるものではありません。取引先や消費者など、様々な関係者がいて成り立つものです。逆に言うと、企業は他社の状況から影響を受ける可能性があるということです。実際これまで順調に活動をできていても、取引先が倒産をしてしまい、その影響を受けて連鎖倒産するということも珍しくありません。
そこで、連鎖倒産を防ぐためには少数の取引先に依存し過ぎないことなどが重要です。また、セーフティーネットとして機能する中小企業倒産防止共済制度もありますので、そちらの活用も有効的です。
中小企業倒産防止共済制度とは
中小企業倒産防止共済制度は「経営セーフティ共済」とも呼ばれ、中小企業が経営難や連鎖倒産に陥るのを防ぐために設けられている制度です。
この制度には以下の利点があります。
- 保証人なく、掛け金の10倍まで借り入れができる
(担保も不要) - 借り入れまでのスピードが速い
(取引先企業の倒産後、当該企業との取引が確認できればすぐに借り入れ可能) - 掛け金に対する税制優遇が受けられる
(確定申告時に掛金を損金として算入でき、節税効果が得られる。個人事業主なら必要経費として算入) - 自己都合解約でも手当金が受け取れる
(掛け金を1年以上納付していれば、その総額の8割以上は戻る。40ヶ月以上納付していれば全額が戻る)
なお、上限額は「回収が困難になった売掛金債権額」「納付した掛け金の10倍(8,000万円まで)」のいずれか少ない方とされています。
借り入れができるケースとできないケース
取引先が倒産した場合、多くのケースで共済金の借り入れが可能ですが、どんな事由で倒産しても借り入れられるわけではありませんので注意が必要です。
例えば、法的整理・私的整理、災害による不渡りや支払不能、取引停止処分など、これらの事由による倒産であれば問題ありません。
他方で、取引先企業が夜逃げをしたケースでは借り入れができません。
取引先がなぜ倒産したのか、最低限の情報は仕入れておくようにしましょう。
必要な資格と手続き
加入資格は「1年以上の事業継続」「中小企業者」の大きく2点です。
ただし、何をもって中小企業者と呼ぶのか、この点業種によって変わってきますので要注意です。
例えば製造業であれば資本金額が3億円以下、あるいは常時雇用の従業員が300人以下でなければなりません。法人である必要はありませんので、個人事業主でもかまいません。
加入手続きとしては「必要書類の入手」「書類への記入」「窓口への提出」「中小機構から書類を受け取る」という流れを踏むことになります。
法人か個人かによって必要書類が変わってきますので、こちらも注意しましょう。