企業を経営していて債務超過に陥った、もしくは債務超過になりそうという場合、破産という手段を検討することになります。
しかし普段接することのない手続であるため何から始めたらいいのか、どのような流れで進めていくのか分からないかと思います。
このような場合弁護士に相談をすることになるでしょう。
また手続に関する知識を持っていたとしても弁護士に依頼をして手続を進めることが一般的です。
しかし弁護士費用も決して安くはありませんので、依頼をすることに躊躇してしまう方もいるかと思います。
特に何を任せているのかすら分かっていないと依頼することの良さが理解できません。
そこで、ここでは具体的に弁護士が法人破産においてどのような役割を果たしているのかを解説していきます。
弁護士がすること
相談業務
まずは弁護士に対し法人破産をしようか迷っているといった内容の相談をするかと思います。
そのため弁護士が最初にすることと言えば相談対応となるでしょう。
現状から見て破産をすべきかどうかの相談、準自己破産をするにはどうすればいいのか、計画的に進めるための手法、注意点など色々なアドバイスをしてくれるでしょう。
受任通知の発出
弁護士に正式依頼することが決まれば、弁護士は受任通知を債権者らに発送します。
この通知は、特定の法人につき破産の依頼を受けました、という内容を知らせるものです。
しかしこの通知をすることで重要なのは、単なる事実を伝えるということではなく、弁護士が味方に付いたことによる取り立て抑止という間接的な効果です。
債権者から強引な取り立てを止めてもらいやすくなりますし、取り立てに対する対応も弁護士に任せることができます。
従業員の解雇に関するアドバイス
従業員の解雇に関しては、法人破産で問題となりやすいことの一つです。
急に解雇の事実を知らせることになるためトラブルになりやすいのです。
事前に知らせれば解決できそうに思うかもしれませんが、情報が洩れることでより大きな問題が生じることもあるため、できるだけ周知はさせないほうが無難と言えます。
そこで弁護士は、どのように解雇を進めるべきか、そのための書類作成や解雇を通知するタイミングなどをアドバイスします。
各会社の状況や従業員との関係性を考慮した上で最適な方法を教えてくれるでしょう。
できるだけ従業員とは良好な関係のまま終われるよう支援してくれるのです。
申立書作成
破産申立書の提出は必須ですが、弁護士がいればこの作業を代わりにやってもらえます。
記載内容の不備など、事務的なミスが生じることを防ぐことができます。
急いで申立てをしなければならないこともありますので、迅速に手続を進めるためにもミスをなくすことは非常に重要です。
管財人への対応
一般的な管財事件では破産管財人が選任されて、その者に会社財産の管理を任せることになります。
しかし管財人も引き継ぐ際には財産状況や債権者との関係など、色々な情報を得なければなりません。
そこで引き継ぐ前に情報共有するため、経営者は状況説明をしなければなりません。
弁護士が付いているとここでの打ち合わせに同伴してもらうことや、その場でのアドバイスなどをしてくれます。
準備物の用意などもしてくれ、引継をスムーズにすることができるでしょう。
債権者集会での対応
債権者集会とは、破産をする会社がその債権者に対し状況の説明をする会のことです。
集会において経営者は経緯や財産状況などを説明することになりますが、弁護士がいれば協力してもらえます。
法的な問題が絡む場合であっても適切なアドバイスを受けることができ、安心感を持って開催することができるでしょう。
まとめ
以上で法人破産における弁護士の役割を紹介してきました。
しかしこれらは代表的なものに過ぎず、実際の仕事はもっと広範で、経営者の方は様々なことを任せられます。
手続に関する下調べの時間も必要ありませんし、ミスも起こりにくくなります。
また従業員や債権者とのトラブルも避けることができます。
破産を検討するときは、まず弁護士に相談するといいでしょう。